Archive for 2021年10月13日

136.ロシアの工業団地と日系企業の事業機会~道半ばのロシアの企業誘致・開発戦略-大橋 巌

ロシア国旗

概要

近年、ロシアの一部の地域では国際的に見ても優れた工業団地が整備され、企業誘致のノウハウも進化している。また、官民を挙げて資源中心の産業構造を変革していく過程にあり、交通インフラの整備、スマートシティ、脱炭素化など、新たな需要も拡大している。この工業団地を活用しつつ、日系企業の技術やノウハウを生かした事業化の可能性が生まれている。

はじめに

筆者は2014年からロシア工業団地協会(Association of Industrial Parks of Russia:AIP Russia:AIP Russia)1の顧問を務めている。ロシア工業団地協会は、2010~2011年にロシアの主要経済団体「実業ロシア(Business Russia)」が作成した2025年までの経済発展戦略「新工業化~戦略25×25」2で打ち出された提言に沿って、実業ロシア、ロシアの一部の先進的な地方政府、ロシアの産業再生に取り組む民間企業によって創設された非営利経済団体である。この10年間、ロシアにおける近代的な工場立地インフラとしての工業団地の整備を目的として、地方政府、開発公社、不動産開発や工場建設に携わる民間企業の情報交換や交流のプラットフォームを提供し、連邦政府への政策提言、企業誘致のための情報発信活動などに取り組んできた。協会の活動における筆者の役割は、日本企業の立場から見たロシアにおける工業団地の整備や企業誘致のあり方への助言、協会およびその会員の工業団地整備の実績や誘致活動の日本側への情報発信の支援などである。

 

本稿では、筆者の工業団地協会との関わりの経験を踏まえ、ロシアにおける製造業の進出環境の変化、日本企業にとっての課題などについて考えてみたい。
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