Tag Archive for ハンガリー

106.ハンガリー中銀の証券取引所買収とその後-高橋 智彦

概要

ハンガリー国立銀行(MNB)は、中東欧証券取引所グループ(CEESEG)からブダペスト証券取引所(BSE)の経営権を握るべく過半の株式を買い取った。しかし、IT化の進展とともにリスクの多い不透明な分野に投入するリスクマネーが必要になる。この再国有化の成否が注目されている。
2015年11月20日ハンガリーの中央銀行であるハンガリー国立銀行(MNB)は、中東欧証券取引所グループ(CEESEG)からブダペスト証券取引所(BSE)の経営権を握るべく過半の株式を買い取った。中小企業の育成や新規上場が進まず、証券市場の規模も拡大しないことに業を煮やしたMNBは異例の措置に踏み切った。証券取引所運営は中央銀行の金融政策の円滑な遂行や中央銀行の独立性と反する点もある。しかし、IT化の進展とともにリスクの多い不透明な分野に投入するリスクマネーが必要になる。これには間接金融よりも直接金融の発展を促す必要がある。MNBによるBSEの経営権取得、いわば再国有化の行方はハンガリー経済のキーを握る面もあり、成否が注目されている。
» Read more..

4.金融危機後のハンガリーにおける労働市場の変化について-田中宏

欧州連合(EU)新規加盟の10カ国(EU10)の経済(GDP)は、2011年初めになってようやく、世界金融危機以前の水準に回復したが、その回復の原動力は内需ではなく、輸出と欧州地域生産ネットワークへの統合に大きく依存するものである。本稿では、世界金融危機がEU労働市場に与えた影響について述べるとともに、ハンガリー労働市場の変化について見ていく。

欧州連合(EU)新規加盟の10カ国(EU10)の経済(GDP)は、2011年初めになってようやく、世界金融危機以前の水準に回復したが、その回復の原動力は内需ではなく、輸出と欧州地域生産ネットワークへの統合に大きく依存している。そのため回復の程度はEU10間でかなりのばらつきがある。ポーランドとスロバキアはすでに安定的な成長軌道に入ったが、チェコやハンガリーは成長軌道に乗り始めた段階である(世界銀行:EU10Regular Economic Report April 2011)。以下では、まず、世界金融危機がEU労働市場に与えた影響に触れて、その後にハンガリー労働市場について検討しよう。一般的に言って、経済変動は生産調整、雇用調整、賃金調整、失業、政府諸政策などを通じて労働市場にその影響が波及していく。全ての要因の関係を見ていくことができないので、EU27加盟国(EU27)の生産調整、雇用調整、失業の関係を取り出して見ていこう。図1で明らかであるように、3者の間にはかなりの強い相関関係があり、それを国別に分類すると、以下のような四つのタイプにグループ分けできるだろう。

» Read more..

Back to Top ↑